~身体機能・認知機能改善の可能性を示唆~
株式会社PREVENT(代表取締役:萩原 悠太、以下、PREVENT)とNPO法人川西スポーツクラブ(理事長:森田 安紀、以下、川西スポーツクラブ)による川西町eスポーツコンソーシアムでは、奈良県磯城郡川西町(町長:小澤晃広、以下、川西町)の協力のもと、川西町民を対象としたeスポーツを活用したフレイル予防事業を実施しました[1]。14名の方に対して川西スポーツクラブによる3か月のeスポーツ教室が開催され、PREVENTによる事業評価の結果、身体機能ならびに認知機能改善への可能性が示唆されました。
【事業成果の概要】
本取り組みでは、2022年11月から2023年2月までの3ヶ月間、川西町民のアクティブシニア層を対象に週に1回のeスポーツの取り組みが身体機能、認知機能、身体活動量、精神心理的指標にどのような影響を与えるかを検証しました。eスポーツ教室は、健康ゲーム指導士資格を有する川西スポーツクラブのスタッフによって提供されました。プログラム前後での効果検証における測定項目は、身体機能は、握力、転倒リスクの高さを反映するTime up & goテスト(以下、TUGテスト)、バランス、4m歩行、椅子からの立ち上がりの速度から成るShort Physical Performance Battery Score(以下SPPB)を測定しました。身体活動量は世界標準化身体活動質問票、認知機能はThe Montreal Cognitive Assessment (以下、MOCA-J)、精神心理的指標は、Well-beingを主観的幸福度尺度、Quality of LifeをEuroQol 5-dimensions 5-levelsを使用し測定しました。
開始時は14名が参加し、12名(平均年齢:71.9±2.98、男性3名・女性9名)の方の最終評価を行うことができました。その結果、TUGテストが平均6.1秒から5.8秒へ、椅子立ち上がりテストは平均8.2秒から5.5秒へそれぞれ有意な改善を認め、SPPBを地域高齢者用に補正したSPPB-地域高齢者補正のスコア(SPPB-com)[2]も平均7.4から9.5と有意に改善しました。また、開始時点では軽度認知機能の疑いの指標である25点以下が6名だったのに対し、終了時には1名に減少するなど有意な改善を認めました。今回の実証から、eスポーツによる3ヶ月間の取り組みは身体機能のみならず認知機能を改善することが示唆されました。今後は今回の結果を踏まえた対象や目的など事業の再設計を行いつつ、中長期での事業実施と効果検証を検討しております。
なお、本事業は大和平野中央田園都市構想推進のための事業における採択事業として実施されました[3]。
【参加者の声(一部抜粋)】
- eスポーツで心がとても暖かくなりました。
- 楽しい時間を過ごせて、笑うことが多かった。
- 終わったあと爽快感があって気分が軽やかでした。
- 良い結果でも悪い結果でも笑えて心身ともに良いと思いました。
【参考】
[1] PR Times(2022年10月21日). 株式会社PREVENTと川西スポーツクラブが提携し、eスポーツを活用したフレイル予防事業において身体機能・認知機能改善の可能性を実証.
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000036875.html
[2] 牧迫 飛雄馬ら.地域在住日本人高齢者に適したShort Physical Performance Battery の算出方法の修正. 理学療法学. 2017.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/advpub/0/advpub_11253/_article/-char/ja/
[3] 大和平野中央田園都市構想推進のための事業募集の採択結果について
https://www.pref.nara.jp/item/283366.htm
【NPO法人川西スポーツクラブについて】
2007年に任意団体として設立、2011年よりNPO法人として活動を開始。≪地域≫の為に、≪地域≫の住民が主体で運営する川西町唯一の総合型≪地域≫スポーツクラブ。 川西町民の約6%(町内小学生の40%)が会員として日々スポーツを楽しんでおり、幼児からシニアまで幅広い年齢層の人たちから≪カワスポ≫の愛称で親しまれている。 主な活動としては、スポーツ教室の運営やイベントの開催、体育施設の運営・管理など。
【株式会社PREVENTについて】
2016年7月設立。名古屋大学医学部発スタートアップ企業。ジャパンヘルスケアコンテスト優秀賞受賞、J-Startup CENTRAL選出。事業内容として自治体向けの保健事業計画の立案や生活習慣病重症化予防事業の実施、保健事業の費用対効果における事業評価などの実績あり。特に大学発スタートアップとしてデータや研究ノウハウを活用したデータ駆動型の保健事業に強みを持つ。