株式会社PREVENT(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:萩原悠太、以下、PREVENT)は、慢性虚血性心疾患を有する個人を対象として、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムの実現可能性と初期の影響に関する研究結果を発表しました。この研究結果により、弊社が使用しているMystarが慢性虚血性心疾患管理において実行可能性があることが示唆されました。この研究結果は、JMIR Formative Research Vol 8 (2024)に掲載されています。
【ポイント】
- モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムは、高い継続性と満足度を得られました。
- モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムは、慢性虚血性心疾患患者において、LDL-Cレベルの有意な減少と体重およびトリグリセリドレベルの改善をもたらしました。特に高いベースラインLDL-Cレベルを持つ患者では、プログラムの効果がより顕著であることが確認され、リスクの高いグループでのモバイルヘルス介入の有効性が示唆されました。
- 本研究のデザインでは、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムが対面ケアより効果的かどうかは検討できていません。今後は、これらの介入の比較有効性をさらに詳細に調査する必要があります。
【研究タイトル】
Exploring the Feasibility and Initial Impact of an mHealth-Based Disease Management Program for Chronic Ischemic Heart Disease: Formative Study
【研究の背景と目的】
虚血性心疾患は、世界中で罹患率と死亡率の高い疾患であり、効果的な管理方法が求められています。従来の疾病管理プログラムでは、患者の継続的な関与や長期的な生活習慣の改善の維持が困難であることが多いことが現状です。モバイルヘルス技術は、連続的かつ個別化されたサポートとモニタリングを提供することによって、これらの課題に対処するための有望なアプローチとされています。しかし、モバイルヘルスが慢性虚血性心疾患の管理に与える効果については十分に解明されていません。本研究の主な目的は、慢性虚血性心疾患を有する個人において、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムの実現可能性と初期の影響を評価することとしました。
【研究方法】
本研究は、2018年12月から2022年10月の間にモバイルヘルスベースの疾病管理プログラムに登録され、虚血性心疾患の診断を受けている266人の個人を対象に実施されました。プログラムには、スマートフォンアプリを介したライフログ管理、定期的な医師への進捗報告、および隔週の電話セッションが含まれます。主要アウトカムはLDL-Cの変化とし、副次アウトカムとして体重、トリグリセリド、その他の代謝健康指標を評価しました。
【結果】
参加者のプログラムの遵守率と満足度は高く、全体的にも良好なコンプライアンスが示されました。また、初期効果としてLDL-Cが平均98.82 mg/dL(標準偏差40.92)から86.62 mg/dL(標準偏差39.86)へと有意に減少しました(P<.001)。特に高いベースラインLDL-Cを有する参加者において、介入が効果的であることが示されました。さらに、体重およびトリグリセリドの改善も認め、脂質代謝に対する広範な影響が示唆されました。
【結論】
本研究の結果から、虚血性心疾患を有する個人において、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムは、高い満足度と継続率を示し、LDL-Cを低下させ、脂質代謝を改善するための実現可能性と初期の効果があることが示唆されました。しかし、本研究のデザインでは、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムが従来の対面ケアよりも効果的であるかどうかを断定することはできません。今後の研究では、これらの発見をさらに検証し、これらの介入の比較有効性をより詳細に調査する必要があります。
【本研究の意義と社会への実装の方向性】
- 本研究の結果により、モバイルヘルスベースの疾病管理プログラムが、慢性虚血性心疾患保有者の心血管リスクの管理において有用である可能性が示唆されました。
- モバイルヘルス技術を活用することで、対象者の個別の健康状態に応じたパーソナライズされたサポートが可能となり、対象者の生活習慣の改善や継続的な疾病管理を支援する効果的な手段となることが期待されます。
- 今後、慢性疾患管理におけるモバイルヘルスプログラムの導入が、社会への実装を通じて人々の健康改善に寄与する可能性を探っていく必要があると考えています。
【論文情報】
論文名:Exploring the Feasibility and Initial Impact of an mHealth-Based Disease Management Program for Chronic Ischemic Heart Disease: Formative Study
掲載誌:JMIR Formative Research Vol 8 (2024)
著者:Takahiro Miki Junya Yamada, Shinpei Ishida, Daisuke Sakui, Masashi Kanai, Yuta Hagiwara
ODI:10.2196/56380
PMID: 39173150