株式会社PREVENT(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:萩原悠太、以下、PREVENT)は、モバイルヘルスと医療専門職主導介入の組み合わせが糖尿病や心血管疾患などの慢性疾患における健康アウトカムに与える効果についてシステマティックレビューとメタ分析という研究手法により検証しました。この研究成果は、Interact J Med Res Vol15(2025)に掲載されています。


【ポイント】

  • モバイルヘルスと医療専門職主導介入を組み合わせた効果をシステマティックレビューとメタ分析で検証。
  • HbA1cやQOLが短期(3~6か月)および中期(6~12か月)で有意に改善
  • 主観的身体活動量は短期で改善が見られたが、長期的な効果の持続は課題
  • 継続的サポートと介入方法の改良の必要性を示唆

【研究の背景と目的】
慢性疾患は世界的な健康課題であり、世界中で数百万人の患者に影響を与えています。従来の医療では、慢性疾患の管理が不十分な場合があります。そのため、モバイルヘルス技術を活用した継続的かつ個別化されたケアが注目されています。本研究では、モバイルヘルスと医療専門職主導の介入を組み合わせることで、慢性疾患患者の健康関連アウトカムがどのように改善されるかを体系的に評価することを目的としました。

【研究方法】
本研究では、慢性疾患患者に対するモバイルヘルスと医療専門職主導の介入を組み合わせた効果を検証するために、システマティックレビューとメタ分析を実施しました。対象とする研究は、ランダム化比較試験(RCT)であり、18歳以上の慢性疾患患者を対象に実施されたものとしました。介入群はモバイルヘルスと医療専門職主導の介入を組み合わせたものとし、対照群には一般的なケアまたはモバイルヘルス単独の介入を受けた患者が含まれました。主要アウトカムとして、血糖値(HbA1c)、生活の質(QOL)、身体活動量を評価しました。メタ分析を通じて、短期(3~6か月)、中期(6~12か月)、長期(12か月以上)における介入の効果を比較しました。

【結果】
本研究では、26件のRCTを対象に、合計7,360人のデータを解析しました。その結果、HbA1cでは短期および中期において有意な改善がみられましたが、長期的な効果は確認されませんでした。QOLについても短期および中期に有意な改善がみられましたが、長期的な効果は確認されませんでした。身体活動量に関しては、主観的評価(質問票)では短期で改善がみられたものの、客観的評価(歩数)では短期における効果が確認されず、中期および長期ではデータが不足していて解析に至りませんでした。

【結論】
本研究により、モバイルヘルスと医療専門職主導の介入を組み合わせることで、慢性疾患患者のHbA1cやQOLが短期および中期に有意に改善されることが示されました。また、主観的な身体活動量については短期的な改善がみられました。しかし、いずれの健康アウトカムにおいても長期的な効果の持続性には課題があり、継続的なサポートや介入方法の最適化が求められます。これらの知見は、個別化された効果的な慢性疾患管理プログラムの開発に寄与するものと期待されます。


【論文情報】
論文名:The Effect of Combining mHealth and Health Professional–Led Intervention for Improving Health-Related Outcomes in Chronic Diseases: Systematic Review and Meta-Analysis
掲載誌:Interact J Med Res 2025;14:e55835
著者:Masashi Kanai, Takahiro Miki, Toshiya Sakoda and Yuta Hagiwara
ODI:10.2196/55835
PMID: 39832160