株式会社PREVENT(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:萩原悠太、以下、PREVENT)は、Insight Labの活動成果として、モバイルヘルス(mHealth)アプリを使った生活習慣改善支援プログラムであるMystarの参加者のデータを調査し、減量効果に対する体重記録率とチャットコミュニケーション回数には交互作用を認め、体重記録率が一定以上である場合、チャットコミュニケーションの頻度増加がより顕著な減量効果と関連することを明らかにしました (Interact J Med Res. 2025. doi: 10.2196/65863.)。


【Point】

  • Mysta参加者のデータを分析し、プログラム期間中の「体重記録率」と「チャットコミュニケーション」の減量効果に対する交互作用について調査
  • 体重記録率が一定以上の場合に、チャットコミュニケーションの増加が減量効果を強化することが示された
  • この成果はmHealthプログラムを構築する際に「ライフログ入力率」や「コミュニケーションの発生」をどのように設計するかという点において示唆のある結果となった

背景と目的

近年、生活習慣病対策としてのモバイルヘルス(mHealth)アプリを用いた生活習慣改善支援が注目されており、中でも「体重記録の頻度」や「医療専門職とのチャットによるやりとり」が行動変容に与える影響が報告されています。しかし、これらの要素がどのように相互作用し体重減少に寄与するのかについては、十分に解明されていませんでした。そこで本研究では、参加者の「体重記録率」と「医療専門職とのチャット量」が体重減少に与える影響、また両者の交互作用効果を検証することを目的としました。

※交互作用とは?

「2つ以上の要因が組み合わさることで、単独では見られないような影響が生じること」を意味します。

研究成果

本研究では、プログラム開始時のBMIが25.0以上の参加者を対象に分析を行いました。その結果、6か月間における体重変化率には、開始時のBMI、体重記録率、医療専門職とのチャット量がそれぞれ有意に関連していることが示されました。また、体重記録率とチャット量の間には交互作用が認められ、頻繁に体重を記録する参加者ほど、医療専門職とのチャット量が増加するにつれて体重減少効果がより顕著になることが確認されました。

本研究の重要性

本研究において、体重記録という「自己モニタリング行動」が医療専門職とのチャットコミュニケーションの効果を高める「媒介要因」となることが明らかになりました。この結果は、mHealth介入の成功には単なる一方的な情報提供だけでなく、ユーザー自身の積極的な関与が重要であることを示しています。すなわち、自己記録の習慣化を促し、それを基に個別フィードバックを提供する仕組みを取り入れることが、今後の健康支援アプリ設計において、より効果的な行動変容を促進する鍵になると考えられます。本研究の成果は、このような仕組みを実践的に導入する上で有益な示唆を提供しています。


【論文情報】

論文名:Interactive Effects of Weight Recording Frequency and the Volume of Chat Communication With Health Care Professionals on Weight Loss in mHealth Interventions for Noncommunicable Diseases: Retrospective Observational Study
掲載誌:Interactive Journal of Medical Ressearch
著者:Yuta Hagiwara, Takuji Adachi, Masashi Kanai, Kotoe Shimizu, Shinpei Ishida, Takahiro Miki.
DOI: 10.2196/65863

https://www.i-jmr.org/2025/1/e65863