2025.08.13 論文

【論文公開】6カ月のモバイルアプリ介入で身体活動の軌跡を同定

概要

株式会社PREVENT(本社:愛知県名古屋市、代表取締役:萩原悠太、以下 PREVENT)は、社内研究組織Insight Labを中心に、名古屋市立大学との共同研究により、心血管リスクを有する成人男性1,369名を対象に、6カ月のモバイルアプリ型生活習慣改善プログラムにおける身体活動(歩数)の変化軌跡を解析しました。Group-Based Trajectory Modeling(GBTM)により3つの歩数軌跡を同定し、歩数の主な増加はプログラム開始後3カ月以内に生じること、さらに開始直後2週間のアプリ利用時間が長い参加者ほど、最も大きな歩数増加を示す軌跡に属する可能性が高いことを示しました。

本研究成果は国際学術誌Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sportsに掲載されました。

研究のポイント

  • 歩数の軌跡は3パターンに分類:安定(32.5%)、緩やかな増加(50.5%)、顕著な増加(17.0%)。
  • 歩数の主な増加は初期3カ月で生じ、その後は概ねプラトー。
  • 顕著な増加群(17.0%)への所属は、年齢が高いこと(OR 1.03/年)と「開始2週間のアプリ利用時間」が長いこと(OR 1.02/1分/日)と有意に関連。
  • プログラム全期間のアプリ利用時間にも群差があり、緩やかな増加群は他群より短時間の利用傾向。

研究の概要

本研究は、PREVENTが健康保険組合経由で提供する6カ月のモバイルアプリ型生活習慣改善プログラム「Mystar」の実利用データを用いた後ろ向き観察研究です。対象は2018年12月〜2023年11月に参加した成人のうち、ベースラインの歩数が8,000歩/日未満で、かつ高血圧・脂質異常症・糖尿病のいずれかを有する男性1,369名(中央値55歳)。全員に手首型活動量計(Fitbit Inspire)を配布し、歩数を自動収集しました。妥当日を1,000歩/日以上と定義し、各週につき3日以上の妥当日を満たした週の平均歩数を算出、全24週(初回・最終週含む22時点)で縦断データを構築しました。介入は電話相談(隔週・計12回)とチャットフィードバックを組み合わせ、運動・食事・睡眠・飲酒・喫煙・ストレス管理などを個別に支援。アプリのエンゲージメント(利用時間・ログイン回数)は全期間および開始2週間で集計しました。

歩数の縦断軌跡はGBTMで推定し、情報量規準(BIC/AIC)と事後確率、分類の適合度指標に基づいて3群モデルを採択しました。その後、群間比較(Kruskal–Wallis/Steel–Dwass、χ二乗)と、多変量ロジスティック回帰により、顕著増加群に関連する因子を検討しました。

研究の結果

 

GBTMは3つの歩数軌跡を同定しました。

  • グループ1(32.5%)は安定パターンで、平均歩数はベースライン4,823歩/日、3カ月4,837歩/日、6カ月5,221歩/日。
  • グループ2(50.5%)は緩やかな増加で、6,676→7,453→7,656歩/日。
  • グループ3(17.0%)は顕著な増加で、7,506→10,960→11,178歩/日と、最初の3カ月で約3,500歩/日の増加が見られました。

開始2週間のアプリ利用時間はグループ3が最長で、群間差は有意でした(中央値:グループ3 6.5分/日、グループ1 5.2分/日、グループ2 4.9分/日、p=0.039)。プログラム全期間でも利用時間に群差があり、グループ2はグループ1・3より短時間の傾向を示しました(全期間p=0.005)。多変量解析では、年齢(OR 1.03[95%CI 1.01–1.06]/年、p=0.018)と開始2週間のアプリ利用時間(OR 1.02[1.01–1.04]/1分/日、p=0.021)が、顕著増加群(グループ3)への所属と独立に関連しました。BMIや中性脂肪は単変量で関連を示したものの、多変量では一貫しませんでした。

社会的意義と実装可能性

本研究は、遠隔型の生活習慣介入において、歩数の増加は介入開始後3カ月間、なかでも開始直後に主として生じること、そしてこの初期段階のアプリ活用(セルフモニタリング行動)が、その後の身体活動の伸びと結びつくことを示しました。これを踏まえ、実装面では、参加初期2週間のオンボーディングを強化し、短時間でも毎日のアプリ利用(記録・振り返り)を定着させる設計が重要であることが示唆されます。また、開始直後の利用が乏しい参加者には、支援強度を早期に引き上げる(電話・チャット頻度の調整、目標の粒度調整、リマインダーの最適化)ことで、より高い増加軌道への移行が期待されます。

本研究は男性の高リスク者を対象とした後ろ向き解析であり因果関係は断定できませんが、初期関与の設計最適化がリモート介入の効果を高めうる有望な手がかりとなることを示しています。

論文情報

株式会社PREVENTについて

2016年7月設立の名古屋大学医学部発スタートアップ企業。企業健保・自治体国保に向けて、保健事業の計画立案や生活習慣病重症化予防事業の提供、保健事業の事業評価などを推進。また、保険者支援の事業を通じて培った「データ解析力」、「RWD」、「各種ソリューション」等のアセットを活用し、製薬業界に関わるステークホルダーへの支援を推進している。大学発スタートアップとしてデータや研究ノウハウを活用したデータ駆動型の事業に強みを持つ。

PREVENT Insight Labについて

PREVENTのビジョン、「科学と社会実践の融合」を具現化するために立ち上げられた研究部門であるInsight Labは、最新の科学的成果を社会に適用し、研究成果の社会への実装を通じて社会問題の解決に貢献することを目標としています。健康関連を含む多岐にわたる分野での研究プロジェクトを進行させ、理論から実践への架け橋となる役割を担っています。

Contact 資料ダウンロード・
お問い合わせ

お問い合わせの他、各種サービス内容をまとめた資料や、
Myscopeのサンプルレポートをダウンロードいただけます。